今、成田空港近くでホテルに前泊中。
台風が接近しているので、さあ、明朝飛行機が定刻通り飛ぶか、また搭乗できるのか、
いつもスタンバイなのでこのスリルがたまらない。
工事中で窓に足場がかかっている、という「難あり」の部屋なので、いいホテルなのに
格安、というホテル業界出身者の関西人としては、大いにくつろげる前泊です。
さて、内田樹の著書の中でも、表題の本は一番食指が動かないものでした。まず、マルク
ス=共産主義ガチガチというイメージがある。共産主義=資本主義すなわち今自分が生き
ている世界を否定するもの、という先入観がある。それに、いつも難解な思想を分かりや
すくわくわくと説明してくれる内田樹の文体がこの本に限っては何か歯切れが悪い。とい
うことで、読みかけてはみたものの、途中で放り出していたのでした。
でも、レオンチェフの本にも、随所に、しかも要のところに、どころか、根っこに
マルクスがどっかと腰を据えている。読みたくないけれども、せっかくだから、
この本を読み返してみようか、と昨日から今日にかけて移動中に覚悟して
読み出すと、打って変わって面白い、どころか、感動して羽田にランディングする頃に
は泣けてきた。
二十代のマルクスが、その頃ドイツで重鎮だった哲学者たちにひとりで挑んだその
果敢さに対して。そして、それに揺さぶられたであろうロシアや、世界中のマルクスの
読者のことを思って。ドイツ語で原著を特に「ドイツ・イデオロギー」を読みたくなって
しまいました。スケールが大きい、とはなんとなく聞いてはいましたが、本って、
出会うタイミングがあるものなんですね。
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