2016年12月11日日曜日

休学

今週、同期のD3の博士論文審査会に参加しました。




彼は中国の人なのですが、すごいなあ、と思ったのは、指導の先生の


考え方を取り入れつつ、自分の考えを貫いていて妥協をしていないことです。


日本人にありがちな、指導教官や授業を受けた先生方の論文を


参照して媚びる、ということは一切していません。でも、きちっと先生の


考えを咀嚼して自分のものにしています。質疑応答も丁寧で反論も


バランスがとれていて説得力がありました。こういう人が研究者として


自立していて本物だと思います。論文も質疑応答もすべて日本語ですが、


日本人のDよりもずっと優れていました。




こういう友人に恵まれてほんとうに幸せです。




私と言えば、博士論文の作成も、今月の発表の原稿も思う通りに進まず、


今教育学研究の基本に戻ろうと思って、今日はこの本を読んでいます。




秋田喜代美・能智正博監修 秋田喜代美・藤江康彦編(2007)


 『事例から学ぶはじめての質的研究法 教育・学習編』  東京図書






読みながら、京都教育大学の大学院で科目履修をはじめたときの衝撃と


感動を思い出し、ああ、でもやっぱり自分のやりたいのはこっちだな、と思いました。




言語文化研究科は、教育についてつきつめて考える文化はあまりありません。


あるとしても大学教育です。言語と文化について考える研究なんですから


それは当然です。




ここの大学では言語教育というと、日本語教育が主流です。




それもやっぱり違うんです。




日本の公立の中学校、高等学校でどのようにしていい英語教育を


していくのか、自分が味わって今でも面白いと思う英語を学ぶことの喜び、


日本語以外の言語で自分を表現できることの面白さ、日本人でない人と


意見を交換することの楽しさと学び、それによって少し人生観や世界観が


が変わるということを、英語が嫌いだと制度的に思い込まされている


生徒たちに味わってもらいたい。




だから日本語教育とは根源的に関心のあり方が違うのです。




休学は9月から半年だけというつもりでしたが、あんまり無理しないで、


色んな先生方の影響を受けずに、まだまだ自分のペースで悩んだり、


読んだり、書いたり、消したり、書き直したり、読み直したり、じっくり試行錯誤したい。






とにかく早く3年で博士論文を書こうと博士後期課程に入った時点では


思っていましたが、その考えも変容しつつあります。今月の発表によって、


休学を伸ばすかどうか考え直そうと思っています。こう考えると、


苦しみだった発表がだんだん楽しみになってきました。





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