2016年2月11日木曜日

関西英語教育学会 卒・修論発表セミナー

恒例の行事ですが、午後からだけ参加してきました。



ちょっと傾向が変わってきたと思ったのは、以前は量的研究がほとんどと

言語学が多かったのが、質的研究がちらほら出てきたなあ、ということです。

談話分析やナラティブ・アプローチ、会話分析もあり、少しバランスが

取れてきつつある印象です。量的研究も、以前指摘されていたからか

効果量を必ず結果に入れるような指導がなされるようになったのを

感じました。


会話分析は相互行為能力の発達に関する研究で、兵庫教育大学の院生だったので、

これはきっと吉田達弘先生の指導だろうと思ってお聞きしてみると、その通りでした。

吉田先生は、バフチンの対話原理について発表した卒論のコメンテーターをされていて、

それだけで講義になるような素晴らしいコメントをされていました。


午前の発表や、午後でも時間が重なって聞けなかった発表が多かったので、

出身校の発表会も聞きにいこうと思っています。


スペシャルトークがユニークで、京都ノートルダム大学女子大学の

沖原勝昭先生が現在の英語教育改革についての実証的な批判を

試みられていました。神戸市外大の玉井健先生のコメントの中で、

英語教育研究は不幸なことに研究の方法として実験心理学の方法を

取り入れてしまった。単純なcause-effectで説明をつけようとすると

教室の中で起こっている有象無象を取りこぼしてしまう。

それを研究する方法はもっといろいろあるはずだ、と言われた

ので、あれっと思いました。時間があれば、皆さん、哲学、科学、科学哲学

も勉強してください、とも言われていました。



玉井先生は、2年前の同じセミナーで私が修論の発表をしたときに

コメンテーターをしてくださったのです。レオンチェフの活動理論と自己流の

談話分析をしたわかりにくい発表に、戸惑っておられた印象があります。

が、その時は、戸惑いながらもハイデガーに言及されておられました。

今日のコメントにはちょっと感動してしまいました。吉田先生とともに

英語教育研究をもっと教育に本質的なものにしようと頑張って

おられるのかなあ、と思いました。


そうそう、あと面白いな、と思ったのは、テーマに、協働学習・コミュニケーション、

とか教師と児童・生徒、とか、メディア・表現活動、とか多様なテーマを

区分けするのに苦労されている痕跡がみえたような気がしました。



普通の学会と違って、このセミナーはほとんどの発表がこれから

英語教師として活躍する学生・院生によるものであること、おそらく

多数はこれが人生ではじめてでこれからはあまり書くことのない論文、

することのない研究であるという唯一無二のものである、ということで

久しぶりに新鮮で学ぶことの多い時間でした。知っている院生も書き終えて

やりおえてほっとした表情でした。みんなこれから素晴らしい先生に

なって子供たちを導いていくんだなあ、と思うとまた感動します。

この子たちを先生にもつ生徒たちは幸せですね。


出身校の発表会も楽しみです。




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