表題の本をやっと読み終えました。
Nguyen, H.T. (2012). Developing interactional competence: A conversation-analytic study of patient consultations in pharmacy. Basingstoke:Palgrave
200ページあまりなので、これくらいすすっと読めないといけないのですが、
このところ気が散ってなかなか集中できない。
内容は、薬局のインターン二人と薬を受け取りに訪れる患者の
コンサルテーションのやりとりが、どのように変化するのかを
大きく4つの構成概念に分けて会話分析の手法を用いて分析したものです。
その構成概念は、sequentail organization, topics and topic management,
formulation of objects and processes, participation frameworks。
第一部は、薬局でのコンサルテーションというジャンルの特徴を
まず概観し、そのあと例をあげながらそれぞれの構成概念について
各章で詳細に論じています。第二部では、二人のインターンのやりとりに
見られる変化を、第一部での構成概念に大体沿って章を分けて、
インターンシップが始まってからたとえば2週目と、4週目、6週目、8週目の
データを、比較して論じています。
考察と結論のところでは、実際のやりとりは、教科書を超えて
その場でインターンが構築していくものであるということと、会話分析は
「今、ここ」での文脈でなされる行為をみるのが原則であるけれども、
このように通時的にみていくという試みによってこの分野の地平を
広げることができた、というようなことが書かれていました。
読んで思ったのは、これぐらい制度的会話の中でも限定された
状況にせばめてやっと、interactional competenceの研究は
可能になる。英語教育の場では、学習者が会話をする状況が
広すぎるし、教師が教室で使うという状況に限定したとしても
それでもまだ色々な場面が想定されるし、改めてむずかしいなあ、
とつくづく感じ入りました。
しかも、このインターンたちはあらかじめやりとりのトレーニング
を教科書を使って教育されていることが前提になっている。
英語教育はその前提すらもない。前途多難です。
0 件のコメント:
コメントを投稿