が、しつけんの研究仲間が発表するというので、参加してきました。看護学の研究者と現象学の先生方が中心なので、言語教育の分野はなかなか肩身が狭いのですが、仲間ががんばって切り開いてくれたので自分も続こうという気になれました。
データとレジュメはすべて回収されるので色々メモしたのですが、覚えていなくてもったいないことをしました。
以下は臨床実践の現象学会のホームページから今日の発表内容を転載して、今日の感想を
述べています。http://clinical-phenomenology.com/archives/
1.岩戸さゆき(大阪大学大学院人間科学研究科)「肺移植手術を待つ重症児と家族それぞれのレジリエンス」本研究は、脳死肺移植を待機している9歳の障害児であるN君と、両親、兄を対象とした事例研究である。N君の病状は重篤であるにもかかわらず、家庭は明るくポジティブな印象があった。そこで、それぞれの語りを分析し、どのようなレジリエンスが関与しているのかを構造化することを目的に研究に取り組んでいる。今回は父と兄の語りの分析を発表し、皆様からご意見をいただきたいと考えている。→フロアの先生からもご指摘がありましたが、データの解釈が主観的過ぎるのではないか、という感じるところが多々あり。せっかくの貴重なご家族の語りが十分に生かされていない、と思いました。レジリエンスという概念がどこから出てきたのか、という説明がなかった。
2.香月裕介(神戸学院大学)「クラスにおける日本語教師の実践」現在、日本語教師の「意識化されない実践知」を記述することを目的に研究を進めています。今回は、大学で非常勤講師として教える日本語教師の語りから、その日本語教師が「クラス」という場においてどのように実践を成り立たせているかについて分析したものを発表します。分析内容そのものはもちろん、その分析がいかに協力者や読み手の実践の捉え直しにつながるかという点についても、ご意見をいただければと思います。→教室ではなく、ただ人間の集団ではない「クラス」という概念について、「場」というのか?と深く考えておられたのが印象に残りました。あと、フロアの先生方の議論で、研究対象の教師が「静的」であり「変化しない、固定している」と言う人と、3回のインタビューの談話内容を細かく見ると「変化している」「成長している」と言う人が対照的だったので、データの読み方の深さについても考えさせられました。
3.村上優子(首都大学東京大学院人間健康科学研究科)「外傷性脊髄損傷患者の入院中の経験」現在、受傷後間もない時期の外傷性脊髄損傷患者がどのような経験をしているのか明らかにすることを目的に研究に取り組んでいる。今回は、研究参加者の何気ないひと言がどのような背景から語られているのか、また、医療者とのかかわりがどのように経験されているのかに注目して分析を試みたものを発表し、みなさまからご意見をいただきたいと考えている。→当事者の経験、を記述しようと試みている点では、この方の発表が一番現象学的ではないかと思いました。ただ、あまりにも内容が濃く、研究者が患者のリハビリに寄り添って、理学療法士の先生や作業療法士の先生とのやりとりを記述するには、文章だけでは限界があると思い、発表後に、社会言語学でのマルチモーダル分析のようなことをされてはどうか、とご本人に提案しに行きました。
x
0 件のコメント:
コメントを投稿