2015年8月15日土曜日

developing interactional competence

表題の本をやっと読み終えました。

Nguyen, H.T. (2012). Developing interactional competence: A conversation-analytic study of patient consultations in pharmacy. Basingstoke:Palgrave

200ページあまりなので、これくらいすすっと読めないといけないのですが、

このところ気が散ってなかなか集中できない。


内容は、薬局のインターン二人と薬を受け取りに訪れる患者の

コンサルテーションのやりとりが、どのように変化するのかを

大きく4つの構成概念に分けて会話分析の手法を用いて分析したものです。

その構成概念は、sequentail organization, topics and topic management,

formulation of objects and processes, participation frameworks。


第一部は、薬局でのコンサルテーションというジャンルの特徴を

まず概観し、そのあと例をあげながらそれぞれの構成概念について

各章で詳細に論じています。第二部では、二人のインターンのやりとりに

見られる変化を、第一部での構成概念に大体沿って章を分けて、

インターンシップが始まってからたとえば2週目と、4週目、6週目、8週目の

データを、比較して論じています。


考察と結論のところでは、実際のやりとりは、教科書を超えて

その場でインターンが構築していくものであるということと、会話分析は

「今、ここ」での文脈でなされる行為をみるのが原則であるけれども、

このように通時的にみていくという試みによってこの分野の地平を

広げることができた、というようなことが書かれていました。


読んで思ったのは、これぐらい制度的会話の中でも限定された

状況にせばめてやっと、interactional competenceの研究は

可能になる。英語教育の場では、学習者が会話をする状況が

広すぎるし、教師が教室で使うという状況に限定したとしても

それでもまだ色々な場面が想定されるし、改めてむずかしいなあ、

とつくづく感じ入りました。


しかも、このインターンたちはあらかじめやりとりのトレーニング

を教科書を使って教育されていることが前提になっている。

英語教育はその前提すらもない。前途多難です。







2015年8月8日土曜日

おめでとう、他



チューターをしている中国人研究生から、

大学院に合格しました、ありがとうございます、というメール。

おめでとう!!!


嬉しいのですが、これはほぼ99パーセント本人の力。

相当頑張っていたので、よかったよかった。この人が面白いのは、
 
政治的なことは嫌い、日本が好きなのは、嵐とかエグザイルとか
 
アイドルが好き、でもそれが高じて日本と中国の報道メディアの
 
比較を研究対象にしたい、と思ってここまできたこと。
 
アイドルの力はすごいです。

きっといい研究をしてくれると思います。楽しみ!

 
他というのは、
 

 
友人から今朝メールでSealdsの神戸の集会に行くつもりなんですが、
 
よかったら行きませんか、と誘われて、はじめて行ってきました。
 
たまたま、大阪駅で遭遇して生で見ているし、動画でも見れるので、
 
忙しさもあって逡巡していたところを友人に背中を押された感じです。


でも、やはり行ってよかったです。学生たちはあくまで穏やか。
 
駅の点字ブロックは踏まないでくださ~い、できるだけ横に
 
広がって通路をふさがないでくださ~いと何度も呼びかけて、
 
熱く静かな街宣でした。関西の名のしれた大学の学生たち、
 
東京からこられた大学の先生、関西の大学の先生たちのスピーチも
 
あくまで感情的にならず、論理的で説得力のあるもので感心しました。
 
 

途中、君が代が遠くから聞こえて、友人が右翼がきてるんじゃない、と
 
ささやいていると、案の定、黒い右翼の小街宣車がやってきて
 
こちらのスピーチをかき消すように怒号を鳴り響かせていました。
 
聴衆から、帰れ、帰れという声が出かけていましたが、
 
学生たちは、完全無視します。と言って反応せず、それから4回くらい
 
右翼が共産党の集まりやろ!!と巻き舌でドスを聴かせた汚い関西弁で
 
メガホンで脅しにかかってきましたが、(関西弁をそんなふうに
 
つかってほしくない、イメージ悪くなるやん、哀しい)
 
学生たちがスピーカーの話に集中してくださいね、と言うので
 
皆、反応しませんでしたら、よくパチンコ店でかけているような軍歌(?)
 
(たーたらったたたたたたーたたたた~というやつ)を
 
鳴り響かせて四回目にはさびしそうに去って行きました。ちょっと
 
可愛かったです。
 
 

感動する場面はいくつもありましたが、最後に学生が
 
今日は集まってくださってありがとうございます、とは
 
言いません、ここまで来たら皆さん一人ひとりの力なんです。
 
よく安保法案を読んで勉強してください、その上で皆さん
 
一人一人が考えてこれからこ自分がどう生きたいか、
 
どういう社会を作っていきたいかそれを考えてください、
 
皆さん、今日はお疲れ様でした、と言っていました。

それが今日一番感動したことでした。

2015年8月5日水曜日

ヴィゴツキー学研究大会 他

がんばって、全国英語教育大会の発表準備をしていますが、

おおまかなアウトラインからなかなか進みません。


先日、8月2日に表題のいつもの研究大会に後半だけ出席が

かないました。神谷先生、土井先生、西本先生、みなさんご健在で

いつもと変わらず難解な議論の中に浸らせていただいて、

幸せでした。今の師匠も、活発に意見を言われつつがんばって

ご自分の著書のことも説明されていて、ちょっとほほえましい。


京教大の院生、と西口ゼミの韓国からの留学生、テンプル大学から

二人ほど院生が来ていて、盛況でした。


伊藤美和子先生にお会いできるかと期待していたのですが、

発表も参加もキャンセルでとてもとても残念。


終刊記念、とタイトルにあったので心配していましたが、神谷先生が

「今日が終刊のはじまり」とおっしゃっていたので、ああ、

まだまだ続くんだ、と一安心したのでした。





さてさて、発表準備です。


評価・assessmentの授業で、interactional competenceにはへたに

手を出さないようにした方がいい、と言われていたのですが、

そこにはまりつつあります。interactional competenceというと、

最近出た本がアマゾンで人気になっていて、わ~、なんで

見逃していたんだろう、と焦りました。

これです。

http://www.amazon.co.jp/Developing-Interactional-Competence-Japanese-Acquisition-ebook/dp/B010PWHY1A/ref=sr_1_1?s=english-books&ie=UTF8&qid=1438780929&sr=1-1

が、著者の論文を検索してざっと見てみると、interactional competence

はこの人の場合, pragmatic competence なんです。

communicative competence, pragmatic competence, interactional competence

いずれも似たような感じがしますが、よくよく勉強すると

持って非なるもの。むずかしい。私の場合は、方法論はあくまでも

会話分析でいくつもり、世界観、言語観、第二言語習得研究の原理は

師匠の対話原理、を中心に、自分の好きな哲学的な思想を自分なりに

解釈してまとめて基盤にしたいと思っています。

ただ、この対極をつなぐものがまだ見つかりません。強いて言えば、

discursive psychologyかと思い始めています。イギリスのラフバラ大学

はそのメッカなのです。



それで、これにからめて、イギリスのラフバラ大学のCAdayで今年の冬、

研究発表をしたいと思って周りの方々に相談中です。

9月締め切りなので、がんばらないと。


あと、仲良くしているD1さんから、オーストラリアのモナシュ大学で

2月にこういう学会があるので、一緒にいきませんか、と誘って

くれているのでそれもチャレンジすることに。


いやいや、どんどん自分で自分の首を絞めている、っていう感じですね。