2014年12月14日日曜日

再び「現実の社会的構成」バーガー+ルックマン

またまた来週のレジュメの順番が来てしまいましたが、

この本から示唆されることが多く、読んでいるうちに生きる力を

もらいました。レジュメができたので、貼り付けておきますね。



現実の社会的構成―知識社会学論考 P.バーガー+T.ルックマン
部 客観的現実としての社会 
1章 制度化 e 制度化の範囲とその様式121140

■p122 諸制度の歴史的変形
問い:制度化が及ぶ範囲はどのようなものであるか=一定の集団における社会的行為全体のなかで、制度化が及ぶ範囲はどのようなものであるのか→制度化の及ぶ範囲を決してする要因はなんであるのか

■それを決めるのは有意性構造の一般性
大部分の有意性構造が一般的に共有されている社会 ⇔ ごく一部しか共有されていない社会

極端な事例モデル:
・第1の類型 制度化が生活の前面に及んでいる社会
複雑で高度に様式化された儀式をたえず行っているような生活となる。すべての役割はすべての行為者にとって同等の優位性をもつ状況のなかで遂行される。役割に特殊な知識の配分はまったく存在しない。

・第2の類型 ただ一つの共通の問題しか存在せず、制度化もこの問題と関係のある行為に関してのみ生じる社会
共通の知識在庫はほとんど存在せず、知識は役割に特殊なものとなる

■p124 上記の発見学的仮説はそれらの接近を促進する諸条件を明らかにするのに有益
・最も一般的な条件 制度の分化を伴う分業の発達程度
分業が進む→→→第1の類型から離脱していく
・もう一つの一般的な条件 経済的余裕の存在
経済的余裕ができる→一定の個人もしくは集団の特殊化された活動への従事が可能になる
→共通の知識在庫における専門化と分節化をもたらす→<純粋理論>が可能になる
→<理論的生活>をもつようになる

■p125 「脱制度化」また制度化された行為の領域は小さくなることもある

■さまざまな制度間の相互関係はどのようなものとしてあるのか

■P126 制度的意味の所与性に加わる重大な修正
・制度的秩序の分節化←ある一定タイプの人間だけが一定の行為を遂行する
・知識の社会的配分←その結果一定タイプの人間だけが所有する役割に特殊な知識
社会全体のなかにおける意味の包括的統合に関してあらわれる客観的な問題
つまり、これまで共有してこなかった有意性構造が悩みの種になる
・例:男―女―レズビアンという三者関係において個々の制度的過程は、全体的な統合が欠けていても共存しつづけることは可能、しかし、バラバラな有意性構造とそれらに伴う習慣化の過程をつながりをもった一つの意味のある全体へと統合することを望む

■P127 例えば、新しい神話という理論図式を語り聞かせ、それを受け入れさせることに成功し、いくつかの行為が大きな社会を維持していくうえでともに役立つということを<知る>ならば、この<知識>は状況に影響をおよぼす。

■p128 また、社会科学によって<パーソナリティ体系>、<社会体系>の経済的部門それぞれから見て機能的統合の合理的産物である、という理論を宣伝することに成功すれば、この<知識>も行動をなんらかの形で統制する。

■p129 巨視社会的なレベルでは、社会の全体を包括し、個人の分節化された社会的経験と知識に対し客観的意味の全体的文脈を提供する、統合的な意味の提示という問題に導かれる
・あるタイプの行為者が遂行する制度的行為を他の諸々のタイプの行為者に対して正当化することの必要性、という問題も起こってくる

■p130 社会的に隔離された意味の下位世界の成立可能性
・さまざまな基準(性、年齢、職業、宗教的傾向、美的趣好など)をもとにして社会的に構成される。
・たえず当の意味を生み出し、これらの意味が客観的現実性をもつある特定の集団によって<担われ>なければならない。
・こうした集団の間には、たえず対立抗争があり、経済的余裕をもつ発達した産業社会に
 おいては、あらゆる種類の会世界の間で多元的な競争が繰り返すことはあたりまえにな
 っている。

■p132 意味の下位世界が確立されると視座が多元化
・社会全体を蓋う安定した象徴の天蓋の確立という問題がきわめて切実なものになる。
・それぞれの視座はそれをもっている集団の具体的な社会的利害と結びつく。
・だが、利害からかけ離れることも可能、例えば科学上の意味の世界はそれ自身の社会的
 基盤に対して極めて大きな自律性を獲得しうる。

■知識体系というのは、それを生み出した集団に逆にはたらきかける力をもつ
・存在基盤からの知識の離脱←社会的行為が新しく獲得された視座の結果、変化すること
 もある。
・知識とその社会的基盤との間の関係は弁証法的なもの、つまり知識は社会の産物である
 と同時に、社会変動の一つの要素でもある。

■p133下位世界の自律性にともなう、部外者と関係者の双方に対する自己の正当化の問題
・より大きな社会からさまざまな特殊な特権や承認を得ることを必要とする場合、
 部外者を閉め出すと同時に、こうした手続きの正当化を認めさせなければならない。
・内部の人間にはは、これを引き留めておくための実際上の手続きや理論的な手続きが
 必要となる。
・すべての正当化機制は、たとえば素人は素人にとどまり医者は医者であり続ける、
 というような形で、双方がともに平和的にそうした状態を保つように機能する。
■p135 制度と下位世界の変化の速度が異なる場合、制度的秩序の全面的正当化と、特定の制度ないしは下位世界の特殊な正当化との双方が困難になる。
・こうした条件下では、いくつかの正当化機構の活動がとりわけ急を要するものになる。

■制度的秩序はいかにして対象化されるのか、という問題
・これは社会的現実の物象化に関する問題である。
・物象化とは、人間的な諸現象をあたかもモノ=非人間的、超人間的なものとして理解
 すること。
・また、人間が人間的世界に関して彼自身がその作者であるということを忘れ去ることが
 できるということ。
・物象化とは疎遠な事実性である。
・自己の作品(opus proprium)ではなく、他人の作品(opus alierum)として経験される。

■客観的な社会的世界がつくり出されるや否や、物象化の可能性が常につきまとう。
どのように客観化されたものであろうとも、社会的世界は人間によって作りだされたものである―それゆえに人間によってつくり変えられることができる―という意識を、人間がいぜんとしてもちつづけているかどうか、ということが決定的な問題。
・客観化された世界は人間的企画としての理解可能性を喪失してしまう。
・たとえ物象化的な仕方によって世界を理解していようとも、人間はやはり世界を創造し続。=人間は自己を否定するような現実を創造することができる。
■p137 物象化は意識の全理論的な段階と理論的な段階の双方のレヴェルにおいて可能
・普通の人の意識のなかに存在している物象化こそ、実際的にはより大きな意味をもつ。
・物象化を意識の一つのあり方として理解するということが、相対的な意識の脱物象化に
 支えられている。

■p138 全体としての制度的秩序も、その諸部分も物象化された形で理解されることがある。
・制度を物象化する<処方>→制度に人間的活動と意味づけから独立した一つの存在論的な地位を与える
・特殊な物象化は、こうした一般的な図式を基礎にして成立するその変種である。
・物象化は理論的な面でも起こり売れば、全理論的な面でも起こりうる。
・制度の世界は物象化されることによって自然の世界と混じり合ってあらわれる。

■p139 役割も、制度と同様の仕方で物象化されることがある。
・役割の中に対象化された自己意識も同時に、個人が責任を放棄する「運命」となる
「この問題に関して私には選択の余地はない。私は自分の立場上、こうするより仕方がないのだ」という論法
・アイデンティティそのもの(自我の全体)までもが物象化されてしまうことがある。
・個人と社会的に割り当てられた類型の人間以外の何ものとしても理解されない。
・たとえば<ユダヤ人>としての現認は、反ユダヤ主義者にとってもユダヤ人にとっても
 双方での物象化は、自我の一部を対象化したものにすぎない類型図式に、存在論的で全
 面的な地位をあたえてしまう。

■p140 物象化の分析は重要な意味をもっている。
・理論的思考一般および特殊的には社会学的思考にみられる、物象化的な傾向を改めるための有効な手段として役立つ。
・人間が行うことと人間が考えることの関係を取り扱う際、非弁証法的な考え方に陥ることを防ぐ。

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